便利な道具の進化による犯罪の巧妙化~紛失防止タグ『AirTag』~

便利な道具の進化による犯罪の巧妙化~紛失防止タグ『AirTag』~

今回の話は2021年4月、Appleから発売された「AirTag(エアタグ)」が悪用されているがAirTagってそもそもどういう仕組みなの?といったようなお話になります。

●そもそもAirTagとは?
紛失防止タグと呼ばれるガジェットで、大事なものに付けておけば、近くでも、遠く離れていても、AirTagを付けたアイテムの在りかがわかるというものです。
財布やカードケースに入れておいたり、専用のアクセサリとしてキーチェーンなどもあるため、カバンに取り付けるなど、さまざまな使い方ができるようになっています。

●どういう仕組みで場所がわかるの?
世界中で場所を把握するというと最初に思い浮かぶのはGPSではないかと思います。
しかしAirTag自体にGPSは搭載されておらず、iPhoneと通信接続することにより位置情報がわかる仕組みになっています。
iPhoneなどの「探す」アプリを使って、近距離であればAirTagまでの距離や向きを指し示してくれるほか、AirTagから音を鳴らすこともできます。
通信接続には、BluetoothやUWB(Ultra Wide Band:超広帯域無線通信)が用いられている。UWBは広い周波数帯域を使用し、障害物による影響が少ない通信方式なので、より細かい位置を探すことが可能になっています。

●Bluetoothが届かない距離では?
通信接続でBluetoothを使用しているというと気になるのは距離だと思う、通信距離は大きく3種類のclassに分けられており最大でも100m程度といわれています。
しかしAirTagはBluetooth接続が届かないほど離れている場合でも、世界中に数億台あるといわれるiPhoneやiPad、MacがAirTagの位置情報を拾い、iCloudを通じて匿名で持ち主に在りかを指し示してくれるので安心というわけです。

●便利な反面悪用もされやすい
貴重品などの紛失防止目的に開発されたこのタグですがこの機能を悪用されるケースも存在します。
今年1月には米国でコートの中から見知らぬAirTagが出てきたという事例も報告され、5月には日本の捜査車両のマフラーにAirTagが取り付けられているのが発見されている。
小型のため意識しなければバッグやコートの中では見つけにくく、簡単に放り込める点からこういった悪用のされ方もあります。

●対策はされていないのか
先程説明したような悪用を防ぐ機能としては見知らぬ人からの追跡を防ぐためiPhoneの『探す』機能は見知らぬAirTag、または他の『探す』ネットワーク対応アクセサリーが時間の経過と共に移動していることが発見された場合、通知するようになっており通知をタップして[続行]を選択。これにより「サウンド再生」のオプションが表示され、音が鳴るとAirTagが設置されている場所を特定するのに役立つようになっているそうです。
また長時間持ち主が不明なAirTagは、勝手に音が鳴るようになっていたり。Androidユーザーの場合、「Tracker Detect」というアプリをインストールすれば、AirTagまたは近くの他の追跡デバイスを感知することが出来るそうです。

様々な技術の進歩に伴いそれを本来の目的から外れた使用方法で悪用するケースは過去を振り返っても数え切れないほど存在しています。
もちろん悪用されない、悪用する人がいないことが1番ではありますがそれは難しい事でもあります。
だからこそ開発側は技術を進化させると共にそういったリスクを無くす、可能な限り軽減させる対策も忘れずに進化させていく事を忘れてはならないと思いました。